Picnic in the room

シートを敷いてワインで乾杯

5月22日 週の日記

5月22日(月)

仲良しの写真家さんから「今日、散歩に行かない?」と連絡が入る。突然のお誘いは、とても嬉しい。子どものころ、「あーそぼ!」って言い合ったみたい。

この方からのお誘いはいつも予想の斜め上で、「車で寝泊りする旅に出るけど、どう?」とか「能のお稽古に行ってみない?」とか心が踊るものばかり。そんな突飛な計画に声をかけてもらえるなんて光栄だ。

あいにく那須にいますとお断りしたら、那須で開催中のおすすめの展示を教えてくれた。夕方、その展示を観てから東京に戻ることにする。

殻々工房というギャラリーバーは、山奥にひっそりと佇む。静かにジャズが流れる店内は、一面大きなガラス張りであおあおとした緑が眩しい。

彫刻作品を観て、弟と一杯ずつ飲んで新幹線に。

”彫り出す”という行為に、関心向いているのがわかる。

 

5月23日(火)

打ち合わせ、打ち合わせ、ボリューミーな原稿確認。

上がってきた原稿を最初に読めるのは、喜びのひとつ。『夫・車谷長吉』で、妻であり詩人の高橋順子さんが、こんなことを書いている。読むたびに泣きそうになる。

長吉は二階の書斎で原稿を書き上げると、それを両手にもって階段を降りてきた。
「順子さん、原稿読んでください」とうれしそうな声をだして私の書斎をのぞく。
私は何をしていても手をやすめて、立ち上がる。食卓に新聞紙を敷き、
その上にワープロのインキの匂いのする原稿を載せて、読ませてもらう。
(中略)
それは私たちのいちばん大切な時間になった。原稿が汚れないように
新聞紙を敷くことも、二十年来変わらなかった。相手が読んでいる間中、
かしこまって側にいるのだった。緊張して、うれしく、怖いような
生の時間だった。いまは至福の時間だったといえる。

夫婦、パートナーという不思議な共同体を想う時、いつも頭によぎる一冊です。

books.bunshun.jp

 

5月24日(水)

おやすみをとり、『ハリーポッター』の舞台に。経堂に住む叔母と従兄弟と。叔母が熱狂的なハリポタファンで、至る所で写真を撮りまくり、すごい量のグッズを買っていた。パーカー、トートバッグ、マグカップ…盛り上がりまくっている叔母に「マントを買ってあげようか」と聞かれ、慌てて辞退した。

日本でこんな舞台が観られるなんて。ブロードウェイのそれみたいだ。

大満足で、素晴らしい舞台を観られたねって軽く乾杯。そのあと会食。

 

5月25日(木)

朝から体調が悪い。深夜に撮影があるので、昼間は省エネで過ごす。

取材では、短い時間だったけど深く優しいお話を聞けた。私たちは地球の一部。

 

5月26日(金)

朝、通院。2時間コースを覚悟してPCを持ち込んだけど、30分で終わってラッキー。

せっせと採用募集のテキストを書く。

私には、尊敬している編集者の先輩が何人かいる。そのうちのひとりが、ある日、バックオフィス(総務)に異動になった。当時大学生だった私は、もう彼が書く原稿を読めないのかと寂しがっていたんだけど、そんなことはなかった。

彼が手がけた採用募集のテキストが、それはもう、素晴らしいものだったのだ。なんとなくリクルートサイトを見ていたら、PCから風が吹くような、なんとなく就活をしている学生が思わず開眼するような、そんな原稿。

あとでお話を伺ったら、編集するものが雑誌じゃなくて、会社という組織になっただけで、それはそれで非常にエキサイティングだと言っていた。私も雑誌を離れて久しいけど、クライアントの課題を解決に導けるよう、キャペーン、メディア、SNSなどで編集力を総動員させてがんばっている。

夜、友人と代々木のとんかつ屋さんでごはん。〆にラーメンを食べて帰宅。満ち足りた、1週間の締め括りでした。